9月の体調不良と、心に浮かんだやなせたかしさんの言葉
9月。季節の変わり目に入り、体調がどうにも安定しない日々が続きます。
軽いめまいに悩まされ、「動けるけど立つとしんどい」「仕事はできるけれど集中が続かない」という状態。休んでしまえば気楽になるのかもしれない。でも休みすぎれば「動けない自分」に慣れてしまうのではという不安に押しつぶされそうになります。
そんなとき、私の頭に浮かんだのが 『アンパンマン』の生みの親・やなせたかしさん の言葉です。
94歳で亡くなるまで創作を続け、「正義とは、弱い人を助けること」と語り続けた彼の人生には、不調と付き合いながら“小さな行動”を積み重ねていくヒントが隠されています。
本記事では、やなせたかしさんの生涯を振り返りながら、体調不良や不安に悩む私たちが実生活に活かせる「小さな勇気」について考えていきます。
やなせたかしの生涯──挫折から生まれた「与える正義」
戦争体験と飢え
やなせたかしさんは1919年生まれ。若い頃に戦争を経験し、飢えや貧困を肌で感じました。その体験が後の「食べ物を分け与えるアンパンマン」というキャラクターに直結しています。
「正義とは、強い者が弱い者をねじ伏せることではない。弱い者のそばに立ち、支えることだ」──彼の言葉には、戦争で目にした“理不尽な力”への強烈なアンチテーゼが込められています。
売れない時代と60歳からの開花
戦後は漫画や詩、イラストの仕事を手がけながらも、生活は楽ではありませんでした。デビューから長い間は“売れない作家”の時代が続きます。
しかし60歳を過ぎてから出版した絵本『アンパンマン』が子どもたちに大ヒット。遅咲きの成功例としても知られるようになりました。
アンパンマン誕生秘話──「自分を削って相手に与える」
批判されながらも描き続けた
アンパンマンは、自分の顔をちぎって人に与えるキャラクター。
発表当初、大人からは「自己犠牲的すぎる」「残酷だ」と批判されました。
しかし子どもたちは純粋に「困っている人にパンをあげる優しいヒーロー」として受け止め、大きな支持を集めていきます。
アンパンマンのマーチに込められた哲学
誰もが知る主題歌『アンパンマンのマーチ』。その歌詞には、やなせさんの人生哲学が詰まっています。
「何のために生まれて、何をして生きるのか
答えられないなんて、そんなのはいやだ」
この歌詞は、人生に迷う大人にこそ響きます。体調不良や不安に揺れるときでも「小さな行動を続けることが生きる意味につながる」というメッセージが読み取れます。
晩年のやなせたかし──病を抱えながらも創作を続けた姿
複数の病気と共存
晩年のやなせさんは、がん・白内障・腎臓結石など、いくつもの病と共に生きていました。それでも彼は「不調を隠さない」「病を抱えたままでもできることをやる」と姿勢を崩さず、創作に打ち込みました。
老いを恐れず発信する勇気
「もう長くはない」と口にしながらも、雑誌のエッセイや歌詞提供など、新しい挑戦を続けました。
病や老いを否定せず、むしろ「誰もが不調や衰えと付き合うのだ」とオープンに語ることで、多くの人を安心させたのです。
やなせさんから学ぶ「不調との向き合い方」
動けない自分を責めない
不調のとき、私たちは「今日もできなかった」と落ち込みがちです。
しかしやなせさんは「できる範囲で一歩動けばいい」と語っていました。動けない時間を責めず、「今日はノートに1行書けた」でも十分。
小さな行動の積み重ね
彼の代表作アンパンマンも、一度に大きなことを成し遂げるのではなく「困っている人にパンをあげる」小さな行動の連続です。
掃除を5分する、外に出て3分歩く──その積み重ねがやがて大きな安心につながる。
与えることが自分を支える
やなせさんは「人を助けることが、自分を生かすことになる」と何度も語っています。
たとえ体調がすぐれなくても、誰かに声をかける・小さな気遣いをすることは、自分自身の心を支える力になります。
実践編｜不調のときに真似できる“小さなセルフケア習慣”
| 状況 | やなせさんの姿勢 | 今すぐできる習慣 |
|---|---|---|
| 体調が優れない | ノートに短い詩を書く | 今日の気持ちを一行日記に残す |
| めまいが続く | 無理に動かず休む | 5分だけ掃除や整理をする |
| 気力が落ちている | 言葉で人を励ます | SNSで誰かに「ありがとう」と送る |
| 生活リズムが乱れる | ペースを整える工夫 | 朝のストレッチ・水分補給を習慣に |
まとめ──「小さな行動」が未来を変える
やなせたかしさんの生涯は、まさに「不調との共存の歴史」でした。
戦争の飢え、長い挫折の時代、晩年の病──それでも彼は小さな行動を積み重ね、94歳まで創作を続けました。
私たちが9月に体調不良やめまいで苦しむときも、同じように「今できること」を積み重ねることが大切です。
1日5分の掃除、短いウォーキング、1行日記。それらの小さな一歩はやがて大きな安心につながります。
今日のひとこと
「できなかった自分」を責めるのではなく、「できた小さな一歩」を誇りに思うこと。
それこそが、やなせたかしさんが遺した“生きるヒント”なのだと思います。