あの頃の私は、「休む」ことが怖かった

40代サラリーマン、ゆるメニです。
数年前まで、私は営業職に就いていました。
朝7時に家を出て、帰宅は夜11時すぎ。毎日がノンストップ。
移動は社用車で片道1時間。エリアは広範囲、外回りの合間に電話も鳴りっぱなし。
営業成績を追いかける日々の中で、体調の変化に気づいても、それを「見て見ぬふり」していました。
「今倒れるわけにはいかない」
「自分が頑張らないと回らない」
そんな思いが、ブレーキをかけるどころか、アクセルを踏み続ける理由になっていたんです。
でも、ある日——
耳鳴りが止まらず、ついに医師から「メニエール病」と診断されました。
営業成績と体調は、比例しなかった
営業職は数字がすべて。
でも、体が悲鳴を上げると、どんなに気力で踏ん張っても結果がついてこなくなる。
「なんでこんなにうまくいかないんだろう」
「ちゃんと努力してるのに」
そんな焦りと空回りの連続。
成績が下がれば、当然社内での立場も苦しくなる。
声が出ない、耳が聞こえづらい、めまいで立ち止まる…
まるで、自分が壊れていく音が、日々聞こえるようでした。
「このまま続ける未来が、想像できない」

決断のきっかけは、ふとした瞬間のことでした。
病院の待合室でぼんやり天井を見ていたとき、ふと心の中で浮かんだんです。
——この働き方、あと1年続けられる?
——いや、1ヶ月だって厳しいかもしれない。
「もう限界なんだな」と、自分で自分に気づかされました。
それから、私は少しずつ働き方を見直すようになりました。
まずは上司に相談し、勤務時間を少し調整。
そして最終的には、営業職を離れ、バックオフィス部門に異動することを決断しました。
仕事のやりがいは、数字以外にもあった

バックオフィスに異動してから、世界が変わりました。
目まぐるしかった日々から、少しずつ落ち着いた日常へ。
朝の通勤電車も、オフィスでの書類整理も、
かつての自分なら「退屈だ」と思ったかもしれません。
でも今は、「静かで安心できる仕事」こそ、体と心の回復に必要な場所だと感じています。
もちろん、営業のような華やかな評価はありません。
でも、裏方として支えることで感謝される瞬間や、
丁寧に積み重ねた仕事が評価される喜びも、確かにあります。
“あの言葉”が、背中を押してくれた
「健康あっての仕事だよ。倒れたら、元も子もないんだから」
これは、ある先輩社員に言われた言葉です。
当時の私は、この言葉に救われたような気がしました。
「無理して頑張ること」ばかりが美徳だと思っていた私には、
初めて“立ち止まってもいいんだ”と感じさせてくれた一言でした。
あの時、体調を崩したのはつらかったけれど、
その経験がなければ、今の私はいません。
「働くこと」の意味が、変わった
働くとは、どういうことなのか。
20代の頃は「成果を出すこと」「上司に認められること」
30代は「家族を守るため」「収入を増やすため」
でも40代になった今は、「健康で、続けられること」が最優先になりました。
——仕事を理由に、体を壊してはいけない。
——健康に働ける場所を、自分でつくっていく。
それが今の、私の軸です。

読んでくださったあなたへ
もしかすると、いま「無理してるな」と感じている方もいるかもしれません。
休むことに罪悪感を抱いていた過去の私のように。
でも、体調がサインを出してくれているのなら、
それは「今こそ、見直すときだよ」というメッセージかもしれません。
変えることは、怖い。
でも、変えないことの方が、もっと怖いと気づけたのは、体を壊してからでした。
だから今、伝えたいんです。
「自分を大切にする選択は、逃げじゃない」
「それは、前に進むための勇気です」
今日も自分らしく、働けていますか?
立ち止まることも、一つの前進かもしれませんよ。
