はじめに:メニエール病歴14年の私が、いま思うこと
こんにちは、ゆるメニです。
40代、サラリーマン。両耳に補聴器をつけて暮らしています。
私は、20代後半で「耳鳴り」を感じはじめ、そこから約14年。
“めまい”や“難聴”と付き合いながら、いまも社会人として働いています。
この記事は「メニエール病ってどんな病気なのか?」を、自分の視点と、これまでに集めた知識や経験を整理しながら、かなり詳しく掘り下げてみる内容です。
ネットで調べても、断片的な説明ばかりで「結局、どういう病気?」という疑問を持った経験がある方へ。
そして、自分のための再整理としても——。
ゆるく、でも深く。
そんな気持ちで書き進めていきます。
メニエール病とは何か?
定義と診断基準を、自分の言葉で解釈する
まず、一般的な定義を確認すると——
「内リンパ水腫が原因とされ、回転性めまい、耳鳴り、難聴、耳閉感などを主症状とする慢性疾患」
これが医学的な説明。でも、これだけじゃ分かりにくい。
「内リンパ水腫って?」「水が溜まる?耳に?」と、多くの疑問が湧きます。
そこで、以下のように自分なりに言い換えてみます。
📌 ゆるメニ的定義:
「耳の奥にある“平衡感覚”や“音”を感じる部分に、謎の水ぶくれ(=内リンパ水腫)ができて、その影響で“グラグラする・聞こえづらい・耳がつまる”が不定期に起こる病気」
✔️ めまいが主症状ですが、「耳鳴り・音の聞こえ方の異常・耳がふさがった感じ(耳閉感)」もセットで出るのが特徴。
✔️ 発作の間隔が不定期なのが困りもの。急に来て、またしばらく何もない。予測できない。
✔️ 最終的に聴力が落ちる人もいる(私もその1人)
耳の中で、いったい何が起きているのか?
ここがとても重要なので、ややマニアックに整理します。

🔍「内リンパ水腫」=耳の中に“水たまり”?
人間の耳の奥には「内耳」と呼ばれる場所があり、そこには「蝸牛(かぎゅう)」「前庭」「三半規管」という3つの器官があります。
それぞれに役割があります:
器官 | 働き |
---|---|
蝸牛 | 音を感じる |
三半規管 | 回転運動を感知(くるくる回る) |
前庭 | 重力や直線的な動き(ふら〜っと)を感じる |
この「内耳」の中には、「リンパ液」と呼ばれる体液が流れていて、まるで半透明のジェルのように包まれています。
そのリンパ液が何らかの理由で過剰に溜まってしまい、“水ぶくれ”のようになってしまう状態。
これが「内リンパ水腫」です。
💡なぜ水が溜まるのか?
医学的には未だに「はっきりした原因」はわかっていませんが、以下の説があります:
- 自律神経の乱れで排出が滞る
- ホルモンバランスの変化(女性に多い理由)
- 塩分や水分バランスの乱れ
- ウイルス・炎症による後遺症
つまり、「一言では片付けられない、多要因の病気」なのです。
症状はこうして出る:めまい、耳鳴り、難聴のメカニズム
めまい発作の怖さは、経験しないと伝わらない

最も有名な症状、それが回転性めまい。
頭がグルグル回る感覚に襲われるものですが、「ただ目が回る」という軽いものではありません。
- 目を開けても、閉じても、天井がぐるんぐるん回る
- 嘔吐や冷や汗、立っていられないほどのバランス感覚の喪失
- 数分~数時間で落ち着くが、その後は船酔いのようなふらつきが数日続く
私は最初の発作のとき、脳の病気だと思って救急に駆け込みました。
耳鳴り・耳閉感・音のゆがみの“重なり”
めまいと同じくらい困るのが、聴覚の不調です。
- 「キーン」「ジーー」といった高音の耳鳴り
- 耳に栓をしたような耳閉感
- 人の声が「くぐもって」聞こえ、音が反響する感じ(エコーがかかる)
これらが同時に出ることもあるし、別々に出る日もある。
「今日は音だけ変、明日はふらつきが出た」など、不定型な症状が続きます。
難聴は“ゆっくり”と進行することが多い
一度の発作で急激に聞こえなくなる人もいれば、私のように「だんだんと音が濁ってきた」「いつの間にか聞き返しが増えた」という人も。
私の聴力変化(14年間の体感):
- 2010年:高音がキーンと響く日がたまに
- 2013年:人の声がこもるように感じる
- 2016年:電話の音声が聞き取りづらくなる
- 2019年:職場で聞き返しが増える
- 2022年:補聴器を両耳に装着
補聴器は「聞こえる」けれど、疲れる。
周囲の雑音も拾うため、聞こえても内容が頭に入ってこない日もある。
「どっちの耳?」は人によって違う(私の場合は両耳)
多くの人は、最初は片耳に症状が出ます(片側発症型)。
しかし、進行すると両耳になるケースもあります(両側性メニエール病)。
私も、最初は左耳だけだったものの、数年後に右耳にも違和感が出はじめ、
いまでは「両耳とも補聴器」がないと仕事になりません。
医学と生活のズレ:治療の“現実”
万能薬は、存在しない
耳鼻科で最初に出されることが多い薬といえば、以下のようなものです:
- イソバイド(内リンパ水腫を抑える)
- 利尿剤(余分な水分を体外へ)
- メチコバール(ビタミンB12、神経の修復)
- メリスロン(内耳の血流改善)
- 漢方薬(苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯など)
それぞれに理屈はあるのですが、効き目は人による、というのが現実。
私もイソバイドは最初効果を感じましたが、途中から“効果が感じられなく”なり、
利尿剤はトイレが近くなりすぎて断念。
“効かない不安”との付き合い

メニエール病で最も辛いのは、「いつ発作が来るかわからない不安」と「この薬でいいのか?という迷い」ではないでしょうか。
- 発作後に「薬が効かなかったのか?」と落ち込む
- 新しい薬を試すたびに「副作用が怖い」
- 効果が実感できないと「意味があるのか?」と感じる
この“治療不信”に陥る感覚は、私自身も何度も経験しています。
「生活改善」こそ最大の治療
最終的に、**私が一番効果を感じたのは“生活習慣の見直し”**でした。
実際に行っていること:
- 水分を1日2.5L摂取(常温のミネラルウォーター中心)
- 夜は炭酸水でリラックス、アルコールは控えめに
- ウォーキングを週3回以上
- 22時以降のスマホをやめて快眠重視
- ストレスを“溜めない”より“抜け道を作る”意識
これらを完全に守るのは難しいですが、「続けた月は調子がいい」が続くと、体も心も少しずつ変わってきました。
メニエール病をどう捉えるか?私の仮説
「自律神経説」に納得感
ストレスで発作が起きやすい。
睡眠不足の翌日はふらつきやすい。
これらの傾向から考えても、自律神経(交感神経と副交感神経)の乱れが関係している可能性は高いと感じています。
・興奮状態=リンパ液の代謝悪化
・リラックス=内耳の血流が安定
…と考えると、「がんばりすぎず、力を抜く」ことが、いちばんの予防法なのかもしれません。
「気象病」の一種という可能性
- 雨の前日
- 台風の前後
- 気圧が急激に下がる日
…に体調が悪くなるという声、ありますよね。
私も明らかに低気圧に弱いタイプです。
最近は「気象病(天気による体調不良)」として広く知られてきましたが、メニエール病はまさにその代表格ではないでしょうか。
ホルモンや血流の影響も無視できない
女性の方にメニエール病が多いのも、ホルモンバランスが影響している説を支持する声があります。
また、冷え性・低血圧体質の方にも多い印象。
つまり、単なる“耳の病気”ではなく、
耳を通じて現れる、体全体のアンバランス
と捉える方がしっくり来るかもしれません。
メニエール病とどう付き合っていくか
水分補給を“ルーティン化”する

私が心がけているのは、「水分は“足す”ものではなく“管理する”もの」という感覚。
1日の摂取ルール:
時間帯 | 内容 |
---|---|
朝起きてすぐ | 常温水200ml |
午前 | こまめに100ml×3回 |
昼食前後 | 300ml |
午後 | 炭酸水または麦茶などで300ml |
夜 | お風呂後に400ml、就寝前に100ml |
合計:約2.5リットル
スマホアプリで管理することで、「水を飲むタイミング=自分を整えるタイミング」にもなっています。
ウォーキングでバランス感覚を鍛える
ふらつきやめまいが怖くて、動くのを避けたくなりますが、“少しの運動”がバランス感覚を保つ訓練になると実感しています。
- 夜に45分、音楽やPodcastを聴きながら
- スマホの歩数計やドラクエウォークでゲーム感覚に
- 「今日は無理しない」も立派な運動ルール
補聴器との付き合い方
補聴器は便利ですが、“完璧な聞こえ”は期待できません。
- 雑音も拾うので、静かな場所でないと疲れる
- 会議では相手の表情を見て内容を補完
- スマホと連携して、音量やバランスを微調整
- 「聞こえない」ではなく「聞き返してもいい」環境づくり
また、疲れた日は外すという選択も、大切な自己防衛だと思っています。

“付き合う”という感覚に落とし込む
完治しない。再発する。原因もはっきりしない。
それでも、14年付き合ってきたからこそ思うのは、
「メニエール病は、“治す”より、“共に暮らす”対象」
だということ。
症状が出ない日は、「ありがたい」と思えるようになった。
発作が来ても、「休もう」と思えるようになった。
病気に支配されるのではなく、「自分の生活の一部」として受け入れた瞬間、少しラクになりました。
今日のひとこと:「“わかってくれる人”がいるだけで、ラクになる」
メニエール病は、見た目ではわからない病気です。
周囲に伝わりにくく、孤独を感じることもあります。
でも、同じ経験をしている人が、確かにいる。
この記事を読んでくれたあなたにも、「ああ、自分だけじゃなかった」と思ってもらえたら、それだけで私は救われます。
どうか、ご自分の体を大切に。
コメント欄やSNSなどで、あなたの「工夫」「悩み」「聞いてほしいこと」があれば、ぜひ教えてくださいね。
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