発症から14年:メニエール病との日常と葛藤
「最初は耳鳴りだけだったんです」。
そう話す私がメニエール病と診断されたのは今から14年前。当時はまだ30代で、営業職として日々走り回る日々を過ごしていました。
しかしある日突然、強烈なめまいとともに立っていられない状態に。耳が詰まるような違和感、回転性のめまい、そして「低音が聞こえづらい」感覚──それが、すべての始まりでした。
それからというもの、季節の変わり目やストレスが引き金になって体調を崩すことが増え、何度も病院を転々としました。薬、漢方、食事、睡眠、運動…。あらゆる方法を試しながらも、確実な回復は得られず、「この症状とどう付き合っていけばいいのか」模索する日々でした。
補聴器に至るまでの判断と葛藤
聴力の低下が明確になってきたのは、発症から7〜8年経った頃。片耳の聞こえづらさが徐々に進行し、会話が聞き返しになることも増えていきました。
それでも正直、補聴器には抵抗がありました。
「まだそこまでじゃない」「若くしてつけるのは恥ずかしい」
そんなふうに思いながらも、ある日、職場での会話のなかで決定的な聞き間違いをしてしまい、深く落ち込んだのを今でも覚えています。
その出来事をきっかけに、「聞こえないこと」への怖さと、「伝わらないこと」への不安が重なり、ようやく補聴器の検討を始めました。
実際に試聴してみると、確かに音が“戻ってくる”。けれど同時に、周囲の雑音や人の視線に戸惑い、慣れるまでは正直つらさもありました。
補聴器導入後の変化と生活への影響
現在は両耳に補聴器を使用しています。
スマホ連携で電池の残量管理や音量調整ができるタイプで、会議や電話の際にも役立っています。
もちろん、補聴器をつけていればすべてが解決するわけではありません。特に騒がしい場所では聞き取りにくく、疲れてしまうこともあります。それでも「聞こえることで安心できる」瞬間が増えたのは大きな変化でした。
もみあげを少し伸ばして補聴器を目立たなくしたり、静かな場所を選んで会話をするようにしたり──自分なりの工夫を重ねながら、ようやく今の“聞こえる生活”に慣れてきた気がします。
私が実践する耳と体のセルフケア術
補聴器を使いながらも、症状の波と上手に付き合うためには“日常のケア”が欠かせません。
- 朝起きたら耳をゆっくりマッサージ
- 水分は1日2.5Lを目安に、こまめに常温で
- 有酸素運動として週3回のウォーキング
- 天気アプリで気圧をチェックし、予定を調整
また、「疲れたな」と感じた日は無理せず休む──。
「頑張りすぎない」ことも、私の大事な習慣です。
同じ悩みを抱えるあなたへ
聞こえづらさや体調不良と向き合いながら働くこと、生活することは決して簡単ではありません。ですが、自分のペースでいいんです。
私自身、「補聴器=年配の人のもの」というイメージに縛られていたけれど、それを外したとき、自分を大切にする選択ができました。
誰かの言葉で救われることもあります。この記事が、あなたにとってそんな一歩のきっかけになればうれしいです。